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モスクワでのコンサート「日本の心」での演奏について

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さて、渡航前に昨年9月に出演したモスクワ音楽院でのフェスティバル「ДУША ЯПОНИИ(日本の心)」について書いておきたいと思います。

モスクワのチャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院・コンセルバトワールといえば、数多くの作曲家や世界的な演奏家を輩出した、世界三大音楽院のひとつ。
「何でお前ごときがそんなすごい場所で」と言う声が聞こえてきそうですが、もちろん別に僕がそんなにすごいわけではなく、これには色々といきさつがあります。

簡単に言うと、コンセルバトワールの民族音楽研究室のスタッフに、知り合いがいるんです。
ベラルーシ人の彼は喉歌のファンで一時期トゥバの音楽学校に留学していたこともあり、トゥバの音楽フェスティバルなどでも裏方として働いていました。そんな経緯があり僕も知り合いになったのです。
彼は日本の音楽にも非常に詳しく、またかなりの口琴マニアでもあります。(なので江戸時代日本で口琴が流行したが徳川幕府に禁止された、など熱く語ったりする)

コンサートが行われたそのさらに1年前、2011年にトゥバを訪れた際はモスクワを経由したので、その際彼の職場であるコンセルバトワールの民族音楽研究室を訪れ、教授であるマルガリータ先生を紹介してもらいました。
コンセルバトワールの民族音楽研究室は、マルガリータ先生自身が琴や三味線の演奏家でもあることもあり、日本の邦楽にかなり力を入れて研究、日本からも演奏者を招いての講座なども活発に行っており、毎年9月~12月にかけて「日本の心」という日本の伝統音楽の連続コンサートを開催しています。
その時は僕を含めた3人で研究室を訪れたのですが、その際いろいろとお話させていただいたり、僕も研究室にあるイギルを弾いて聞かせたり、日本の民謡を一節歌って見せたりしてほんの少し交流させていただいたのでした。
そんなトゥバの喉歌なんかをやっている変わった日本人たちがいることを面白いと思ってくれたのかもしれません。ベラルーシ人の友人の後押しもあったのでしょう、2012年の「日本の心」にちょっと出演してみたら?と言う打診がその年の冬にあったのでした。

はて、「日本の心」といえば本格的なモスクワの邦楽フェスティバル。日本の尺八や琴の大御所の方々が何度も出演しているコンサートなので、僕らは「ちょっと変わった日本人枠」みたいな感じで端っこのほうで軽く出演させてもらう、という感じだろうなと思っていました。

このコンサートに関わる一連の流れについては、ロシア語が非常に堪能で、トゥバに関しては僕の先輩であるとある方(2011年も一緒にモスクワを訪れた)が中心となって話を進めてくれたのですが、なんだか話が進むにつれどうも本格的なコンサートを組んでくれるらしい、ということがわかってきました。
そんなこんなで、日本のトゥバ関係の知人に何人か声をかけて、僕を含めた日本人4人が最終的にコンセルバトワールの、ラフマニノフホールという凄すぎる舞台に立つことになったのです。

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コンセルバトワールの入り口に張り出されたコンサートのポスター。いろいろ経緯があってポスターの写真は僕だけになっている。僕らのコンサートのタイトルはズバリ「”Неожиданная Япония”(思いがけない日本)!」

コンサート当日僕たちはトゥバの音楽を演奏し、友人の一人は彼が取り組んでいるキルギスの音楽も演奏しました。

日本の心のコンサートは、2012年のトゥバの滞在を終えた帰りにモスクワに立ち寄り、日本に帰国する前に参加しました。そのときの僕はトゥバでの長期滞在を終え、最高の先生からトゥバ音楽の手ほどきを受け、トゥバの音楽フェスなどの大舞台を経験、ある程度自信をつけていました。それでも、コンサートが開幕し、(僕はトップバッターで、コンサートの最初と最後に演奏した)お客さんの前に立つまでは緊張で震えました。しかし最初の曲を演奏し、聴衆の皆さんからたくさんの拍手を頂いたときの感動は忘れることが出来ません。


僕のコンセルバトワールでの演奏の一部

一応「日本の心」なのでやはり日本の曲も演奏したほうがいいだろうと僕は考えていたので、最初にトゥバの伝統曲を数曲演奏、2度目の出番のときに和服に着替えてトゥバの楽器で日本の曲を数曲演奏しました。
これは僕にとっても非常に難しいチャレンジだったのですがとても勉強になり、マルガリータ先生をはじめ聴衆のみなさんにも、ある程度関心を持って見て頂けたのではないかと思っています。

聴衆と言えばコンサートを通して感じたのはその質の高さでした。なんせ世界最高峰のクラシック音楽のコンサートに日ごろから通い、日本の伝統音楽にも関心を示している、非常に教養の高い音楽ファンの皆さんです。ロシアに通じている方なら判るでしょう。ロシア文化人の教養は非常に高いのです。

聴衆の方の、その空気から感じたのは、この人たちは本当に真剣に自分の演奏に耳を傾けてくれている、ということでした。
 トゥバの音楽は、やはり喉歌にインパクトがあります。それだけでもかなり珍しいものなので、やはり演奏すればある程度の反応が期待できるとも、正直思います。しかしコンサート終了後、あるお客さんからこんなコンサートの感想を頂きました。

 「あの歌は精神の内面の美しさを表現している。」

やはり、こういった感想は音楽に対する深い造詣の念が無ければ出てこないものだと感じました。

そしてこのコンサートではまた別の収穫がありました。それは日本の邦楽の演奏と研究に取り組むコンセルバトワールの研究生の皆さんと知り合えたことです。僕はロシアの先住民族の音楽を学んでいます。そして彼らは非常に熱心に、日本の伝統音楽に取り組んでいます。外国の伝統音楽を学んでいる、ある種似たもの同士の、同世代の友人が出来たことは僕にとって非常に大きな励みになり、また自分のルーツである日本の伝統音楽に関しても、深く考えさせられるきっかけとなりました。

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日本の尺八オタクのサーシャと。トゥバのショールを吹く日本人と、日本の尺八を吹くロシア人のツーショット!

幸いコンサート終了後もコンセルバトワールの皆さんとは関係が続き、今後も何かしら演奏の機会が続きそうです。僕にとっても非常に大きな財産になったこのコンサートの経験を活かし、まだまだ未熟な腕に精進を重ねていかなければならないなと、この日記を書きながら今新たに思い直しています。

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一番上の写真は、ラフマニノフホールでのリハーサル風景。コンサート中の写真は残念ながらありません。
コンサートには僕を含めた友人たちと4名で出演しました。写真などもいくつかあるのですが名前や顔写真などでネットにアップしていいのかどうか計りかねたのでとりあえずこのような形で日記をまとめてみました。
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by teradaryohei | 2013-05-25 23:32 | トゥバ日記 | Comments(0)

トゥバの楽器が欲しい方へ

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先日、とあるトゥバの楽器製作者から連絡がありました。

「リョーヘイ、今年はいつ来るんだ?今年も俺の楽器買ってくれるか?日本人で俺の楽器欲しい人、いないか?」

僕は昨年彼の作った楽器を購入したので、また買って欲しかったのでしょう。
冬の間にこつこつ作りためた楽器を夏にトゥバに訪れた旅行者に買ってもらうことは、彼らにとってとても大きな収入源になります。

しかし僕はもう何度もトゥバを訪れていて、自分に必要な楽器は揃えてしまいました。
今年は買わない旨を伝えると、彼は非常に残念そうにしていました。

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初めて手にしたドシュプルールは、今でも大切な僕の宝物


僕はトゥバを訪れるまでイギルやドシュプルールが欲しくて欲しくて堪りませんでした。しかしかなり長い期間手に入れることが出来ずにいました。
現在においても、日本でトゥバのきちんとした品質の楽器を手に入れることは難しいと言わざるを得ません。

今でも、以前の僕のような人がいるんじゃないかと思います。
一方でトゥバの楽器職人たちは、外国人に楽器を買って欲しいと思っています。


幸い僕は、毎年トゥバを訪れています。僕であれば両者の間に立って力になれるかもしれません。
そして日本でもトゥバの楽器に親しむ人が増えることは、僕もトゥバの人たちも望んでいることだと思います。

もしイギルやドシュプルールなど、トゥバの楽器が欲しい、という方がいらっしゃいましたら、僕までメールしてください。(dtxmain(at)gmail.com (at)を@に置き換えてください)
詳しい内容を相談したあと、トゥバから持ち帰り、帰国後お渡ししたいと思います。

トゥバから楽器を買って持ち帰るということは、それなりに手間がかかります。
職人とのやりとりはもちろんありますし、だいぶ旅慣れた今でも、空港に楽器を持ち込む際は予期せぬトラブルの可能性があるので気を使います。(最近はずいぶん良くなったとは言え、ロシアの航空事情を知っている人なら理解できるでしょう)重量制限もあるので超過料金だってかかりますし、楽器の管理はなにかと気を使うものです。

なので正直に言って、現地で買った値段でそのまま、というわけにはいかないのですが、それでもよければ相談してみてください。僕としても両者の間で出来るだけ無理の無いよう、力になれたらと思っています。

上の写真は、とある見習いの若い楽器製作者。当たり前ですが、木を削り、皮を張り、一つ一つ手作業で仕上げていきます。休憩中、製作途中のイギルを僕に見せてくれました。(本文中に出てくる人ではありません)



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これは昨年購入した、僕が現在予備として持っているイギルです。もし欲しい方がいれば、すぐにでもお譲りしたいと思っています。鳴りは最高です。詳しくはメールしてください。
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by teradaryohei | 2013-05-09 21:34 | トゥバの楽器が欲しい方へ | Comments(3)


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